code-name-sf’s diary

ASKAの20数年来のファンです。

新アルバム「Too many people」を手にして

 芥川龍之介の「蜘蛛の糸」で、主人公は天から垂れる頼りない蜘蛛の糸を上り地獄から抜け出そうとするが、続いて上ってくる者たちに「下りろ」と言った瞬間、糸が切れ、再び地獄に落ちてしまう。

 

 ASKAの新アルバム「Too many people」を手にした。これまでの思いが、溢れかえってくる。

 

 2014年にASKAが逮捕されてから、私たちファンは地獄とまではいわないが、漆黒の闇を彷徨っているようだった。光のない中で聞こえてくるのは、耳を疑うような不快なものばかり。ASKAは一体どれほど、痛めつけられるのだろうか。ファンとして心の痛む日々だった。覚醒剤の使用は許されないが、犯した罪と与えられた罰が均衡を失っていた。

 16年7月、一筋の光が差す。ASKAがブログを始めた。ブログではあるが表舞台に戻ってきたのだ。年内にアルバムを発売したいという。嬉しい反面、本当にできるのか半信半疑だった。

 暗闇に差した一筋の光はやがて輝きを増していく。日々、ブログを更新するASKAに、これまでにない親近感を覚え、本来の人柄を思い出す。ライヴでのASKAのMCは面白い。よくしゃべる。遠くにあった記憶がよみがえる。すべてはファンのためにという思いが強く伝わってくる。

 ブログのコメント欄が解放されていたので、ファンの意見も活発に交わされた。様々なASKAへの熱い思いが語られ、時に荒れることもあった。それでも、同じ痛みを分け合った同志のように感じられた。

 ASKAから「再犯のないグループの先頭に立ち、音楽をとおして社会に貢献しなければならない」と力強い宣言を聞き、あとはアルバムの発売を待つばかり、のはずだった。

 

 16年11月28日。ASKA、再び逮捕。

 蜘蛛の糸が切れた瞬間だった。

 「また、あれが始まるのだろうか」。溢れかえる悪意の報道の数々。心を痛める日々。ASKAのブログは荒れ果てた。ブログに書き込まれるのは、正義の仮面を被った悪意の塊。どこからやってきたのか、不思議で仕方ない。アルバム発売を目前にしての逮捕は、1度目よりショックが大きかった。揺らぐ感情をどう整理すればいいかわからない。むなしさだけが残った。それでも、諦めきれなかった。

 諦めきれない、ASKAを信じるファンが多くいたことが救いだった。蜘蛛の糸が切れても、ファンとファンとが手をつなぎあい、抜け出すための糸をみんなで必死に掴んでいたように思える。再び闇に閉ざされたが、まわりには同じようなファンがいて、支えられた。ASKAが勾留中、ファンにはファンの闘いがあった。

 

 ASKAは不起訴。

 それはファンにとって奇跡としかいいようがない。辺りを覆っていた闇は消え、つなぎとめていた蜘蛛の糸を掴む必要もなくなった瞬間だった。

 

 アルバムを手にして、いまはファンとともにこのアルバムが世に出されたことを大いに喜びあいたい。